【教えて】映画批評の書き方その2、まず脚本テンプレートで因数分解すると誰でも簡単に映画構成を理解できる【お勧め本紹介】
アメリカで流行のアプリ「Quibi」。2時間ぐらいの映画を10分毎に分割して1話1話で完結するように配信していくというようなサービス。2時間ものの映画を見るとなるとそれなりに時間を確保して「よし!見るぞ」という態勢を整えます。でも10分前後で1話が完結するんだったら隙間時間に見れば気軽にいつでもどこでも試聴可能じゃないですか。
で凄いのがスマホ向けに作られていること。つまり縦型でも横型でも動画を見ることができるということ。実際に試してみましたけど、コンテンツが次々に上がってくるのでこのシリーズをちょっとつまみ食い、こちらも面白そうだからちょっとつまみ食い、のような感覚で気軽に試聴できるところがポイント。質はB級映画と言ったところでしょうか。
でも1話が大体10分前後で終わるのでユーチューブでお気に入りのチャンネル番組を試聴している感覚で、ラクチンなんです。15話ぐらいで完結するし。5Gがもっと社会に浸透してきたら、「Quibi」のようなサービスは大きな社会インフラとなる可能性があります。個人個人の10分を奪い合う戦いでしょうか。
映画批評を書くにはまず構成内容を理解する必要がある
まっ10分程度の1話を全15シリーズで配信するのもあり、2時間映画として配信するのもあり、良い映画に出会うとそれだけで心が満足感に浸れますから、私も映画、大好きです。昔はよく映画批評とかブログで書いていたんですけど、今回、脚本家が提供する映画構成テンプレートを用いて因数分解が簡単にできる、というものに出会いましたので紹介します。
Adobe、「AE」なんかで映像制作をしている「ダストマンTips」というユーチューブチャンネルで出会ったコンテンツ「【SAVE THE CATの法則】ハリウッドの秘密。ヒットする映画の脚本の法則はこれだ!!」です。このコンテンツの内容を簡単にまとめてみて納得、確かにこのテンプレートを理解した後、映画を見ると映画構成を因数分解できると誰でも思うはずです。
この方もハリウッド映画の脚本家が書かれた本を参考にしていて、それらをまとめたものを配信しているようです。私も実際、本を購入して見ました。ストーリーのある映像制作を目指している方にはお勧めの本です。後小説とか好きな方にもストーリーの構成、展開、プロットの仕組みなどを創作するのに素晴らしい知識を与えてくれます。
映画内容、映画構成、ブレークスナイダービットシート
映画内容を分解!映画脚本家は考えた要素を並べて構成を作ります。「SAVE THE CATの法則」著書独自テンプレート、ブレークスナイダービットシート(BS2)というもの。この要素を上手く組み合わせて作るのが映画。どのように組み合わせるのかというルールも存在しているので、因数分解してみると映画の構成要素って案外単純でシンプルなんです。
- オープニングイメージ
- テーマの提示
- セットアップ
- きっかけ
- 悩みの時
- 第一ターニングポイント
- サブプロット
- お楽しみ
- ミッド・ポイント
- 迫りくる悪い奴ら
- 全てを失って
- 心の暗躍
- 第二ターニングポイント
- フィナーレ
- ファイナルイメージ
1、オープニングイメージ。映画のスタイル、雰囲気、ジャンル、スケールを決めます。また主人公の出発地点を決めるものでもあり、そしてファイナルイメージと対になる存在とします。2、テーマの提示。冒頭の5分ぐらいで登場人物の誰かが問題を提起したりテーマに関連したことを口にします。こんな人生ってどう思う?お金か?幸せか?こんな夢や幸せに価値はあるか?脚本家が主張したいテーマは必ず冒頭で主張するように。
3、セットアップ。登場人物の特徴や後に起こる問題の原因となる行動も提示され、主人公が最後の勝つためにはなぜ、どのように変化するべきなのかが示される箇所。ここで主人公に足りないものをしっかりと見せること。4、きっかけ。人生を変えるような瞬間、良いことばかりではなく、時には悪い知らせもある。でも終わる頃にはそのきっかけによって主人公は幸せにたどりつく。
5、悩みの時。「そんなことできるわけない!」と主人公が言う最後のチャンス。重要なのは大きな葛藤と疑問を抱くこと。6、第一ターニングポイント。ここで絶対に何かが起きなければならない、三幕構成で言う二幕に入る瞬間。スターウォーズでルークが旅に出るきっかけは両親が殺されたから。大事なのは自らの意志で選択し進むこと。主人公だから。
7、サブプロット(Bストーリー)。正反対の世界に入ると一旦息ぬきが必要。ちょっと脱線し、新しい登場人物が出てくるのもここ。8、お楽しみ。お約束を果たす場。ポスターや予告編で使った一番美味しい部分。作品の核心部である。スパイダーマンが手に入れた不思議パワーを初めて試すシーンとか。
9、ミッド・ポイント。主人公はこのミッド・ポイントで絶好調になる。もしくはこれ以上悪くなりようがないほど絶不調になる。どちらも見せかけ。そしてここからいきなり危険度がアップする。お楽しみはもう終わり。後にある「全てを失って」の対になる存在。ここをきちんと押さえるとストーリーが安定する。
10、迫りくる悪い奴ら。悪い奴らが態勢を立て直し総攻撃を仕掛けてくる。主人公サイドも仲間と意見の食い違いがあったり疑いや嫉妬で結束力が弱まる。11、全てを失って。ミッド・ポイントで絶好調なら絶不調。絶不調なら絶好調になる。ヒット作によく見られるのが死の気配。誰かの死によって自分にはすでに力が身についていたことを自覚する。
12、心の暗躍。主人公は深く考え、心の奥底を探る。アイデアも生まれない闇。自分がちっぽけな存在であることを認め、謙虚になり、大きな運命の力を知る。13、第二ターニングポイント。解決策が見つかる。メインプロットとサブプロットが出会う地点で主人公はついに解決策を見出す。
14、フィナーレ。全てのまとめ。悪い奴らは一掃され、新しい世界が生まれる。主人公が勝つだけじゃダメ。世界を変えなきゃいけない。15、ファイナルイメージ。オープニングイメージと対になる、本物の変化が起きたことを見せる場。
4部構成の振り分け方
- 1、オープニング~5、悩みの時
- 6、第一ターニングポイント~9、ミッド・ポイント
- 10、迫りくる悪い奴ら~13、第二ターニングポイント
- 14、フィナーレ~15、ファイナルイメージ
第一部終わりで考えること。5、悩みの時。「そんなことできるわけない!」と主人公が言う最後のチャンス。重要なのは大きな葛藤と疑問を抱くこと。
第二部終わりで考えること。9、ミッド・ポイント。主人公はこのミッド・ポイントで絶好調になる。もしくはこれ以上悪くなりようがないほど絶不調になる。どちらも見せかけ。そしてここからいきなり危険度がアップする。お楽しみはもう終わり。後にある「全てを失って」の対になる存在。ここをきちんと押さえるとストーリーが安定する。
第三部終わりで考えること。13、第二ターニングポイント。解決策が見つかる。メインプロットとサブプロットが出会う地点で主人公はついに解決策を見出す
インデックスカードの振りかけ方
- 一枚のカードに一つのシーン、その起きる場所、そこで起きること
- 4つに分けた4部構成をインデックスカードで埋め尽くしていく
- 上から下まできっちりバランス良く埋まらなければいけない
重要なのはミッド・ポイント、第二ターニングポイント、第一ターニングポイント。ミッド・ポイントは絶好調か絶不調か、どちらかを明確にするため全体の要になります。合計40枚のインデックスカードで大体2時間の映画という具合、全部で4部構成になっていると言うことで、それぞれの終わりにストーリーが次の局面へ移るシーンを創造するわけです。
これによって物語に動きが加わり、視聴者の感情がそのストーリー展開とともに動いていく。映画批評を考える場合、この作品にはどの構成要素が足りないとか、4部構成のこの部分が弱いとか分析できるようになっているはずです。「Quibi」に出てくる作品だったら1話につき、一枚のインデックスカードで構成すれば、15話程度で完結します。